何も考えていなかったあの頃
以前のブログにも書いたことがあるのですが、僕の人生の動力源は、
「モテたい」

これしかありませんでした。
小さい頃から、母の影響で本を読むのは好きだったのですけどね。
1990年代はそういうのあんまり受けなかったんですよ。
特に女子に。
本を読む文学少年なんか、中学校カーストの最下位。
当時のランキングとしては、
1位は野球やサッカーをやってるスポーツ少年たち。
2位はヤンキー 3位がオタク
僕はどこにも所属しきれない、最下位をひた走っておりました。
小学校の時に仲の良かった女の子達も中学生にもなると、男女を意識し始めてあんまり絡んでもらえませんでした。
こんな事を言うと、
「なんだ、また自慢かよ。」
とか言われてしまいそうですが、小学校低学年の時の僕は・・・
めちゃめちゃモテちゃってました。
とにかく昔の僕は可愛かったんですよね。

上記が証拠写真なんですけど、
昔のモテっぷりを取り戻すにはどうしたらいいのか?と常に考えていました。
周りのみんなは、本なんか読まず漫画を読んでいる奴らがほとんどでした。
「コロコロコミック」や「ボンボン」なんかの子供向けの漫画を読んでいてもモテず、当時超人気だった「ドラゴンボール」「るろうに剣心」「幽遊白書」なんかを読んでいる奴の方が大人であるというような風潮がありました。
学校と家が人生のすべてであり、これからどう生きていくかなんて全く分からないし考えたこともない。
そんな田舎のぼーっとした少年だった僕が、この漫画と出会ったのは運命だったと思います。
初めて自分の人生を考えるきっかけを与えてもらえたからです。
マスター・キートンとの出会い
僕が生まれた町には、本屋さんが一軒しかなく、
お金が貰えるタイミングは、お祭りの時とお正月のみなんですよね。
そんな状態なので、新しい漫画との出会いは風邪や病気で病院に行くタイミングでした。
ある時、風邪をひいて病院に行ったときに何気なく手に取ったのがこの漫画でした。
作者の浦沢直樹さんは、「YAWARA!」や「MONSTER」「20世紀少年」なんかを描いている人気漫画家さんです。
テレビで「YAWARA!」のアニメを見ていた僕はすんなりとこの漫画に入り込むことが出来ました。
ストーリーは、ほとんどが一話もしくは数話で完結するサスペンスドラマ、人情ドラマという感じです。
主人公の平賀・キートン・太一は3つの顔を持っていて、
一つ目はオックスフォード大学を卒業し、考古学を探求する「大学教授」
二つ目はイギリス陸軍のエリート特殊空挺部隊SASのサバイバル教官で「伝説的マスター」
三つ目は大手保険会社ロイズの下請け「保険調査員」(探偵)
この漫画に僕は、そのあとの生き方を大きく変更されるとは全く思っていませんでした。
瑪瑙色の時間
この漫画の7巻に出てきた「瑪瑙色の時間」を読んだ時に僕は、物凄く感動しました。

このお話の中では、キートンが子供の頃に出合ったバスの運転手さんとのお話が紹介されているのですが、この中で「マスター・オブ・ライフ(人生の達人)」という概念に初めて出会いました。
その中でバスの運転手さんがこんなことを言います。
「人生の達人はどんな時も自分らしく生き、自分色の人生を持つ。俺ももう一度立ち上がろうと思う。自分を憐れんでいる時間はない。」
こんな風に自分の人生を考えたことがあるだろうか?
僕は、自分に問いかけました。
いや、全くない。
若いとはいえ、一度しかない人生を考えずに過ごしてしまっていいものなのだろうか?
この時が、僕が自分の生き方について考えるようになった初めての時なんです。
その時から僕の人生の目標が決まりました。
「僕も人生の達人になろう!」
穏やかな死
単行本3巻に出てきたこのお話しにもものすごく影響を受けました。

長い間昔の復讐のみを考えて生きてきた男が、公園で孫と遊ぶおじいちゃんと出会います。
その男はおじいちゃんに問いかけます。
「じいさん、そんなに長い間生きてきてどうだった?」
「楽しかったよ。」
「いくつの時が一番楽しかった?」
「・・・今、だな。」
「そんなに生きてきて退屈じゃなかったかい?」
「退屈?退屈している暇なんかあるかい。生まれてきてよかった、楽しい人生ってやつさ。これからもずっと楽しいに違いない。」
その翌日、おじいさんは公園に来ませんでした。
男がおじいさんの家を尋ねてみると、おじいさんは亡くなっていました。
おばあさんが出てきて、幸せそうなおじいさんの死に顔を見てやってくださいと言ってきます。
おじいさんの顔を見た男は、
「俺もあんな風に生きたい。」
と言って復讐をやめてまっとうに生きていこうと心に決めていきます。
「俺もあんな風に生きて~!」

中学生の何にも無い心がここで大きく変わっていきました。
MASTER・キートンオススメですよ!
この漫画を読んでから、僕は自分の人生をどんな風に生きていきたいのか考えるようになりました。
素晴らしい本はいくらでもあるんですが、如何せん本を読むこと自体が難しい人も多いと思います。
漫画なので読みやすいですし、読んでいく中で勉強になることがめちゃめちゃたくさんあります。
面白い漫画や記憶に残るような名作は沢山ありますが、人生が変わるほどの影響を与えるものはなかなかないと思います。
TVや歌などで人生を教えてもらえることはとても少なく、何となく生きている人の方が多いんじゃないでしょうか?
どうせ影響を受けるのならいい影響を受けていきたい。
そんな人におすすめの一冊です。
