幻のシックスマン やーゆー
うちの会社なんですけど、実は幻の選手がおりまして。
ホームページとかを見てものっていないので、誰も知らんと思うんですけど、
”やーゆー”

ていうやつなんですよ。
こいつは、まだTorus不動産合同会社の影も形もないころ、うちの副社長と3人で
「わりと会社って、やってみたら何とかなるらしいよ」
とか、言いながら副社長のアパートで語り合ってたやつです。
まあ、今の勤務先への責任感が強いのかなんなのか分かりませんが、うちへの参加が相当遅れてしまっていました。
それが、最近になって
「ヨッシー、もうすぐお世話になるから宜しくね」
って言ってきました。
この発言に僕は、衝撃を受けました。
「やっと来たか」
では無く、
「お給料払えるのかな?」
とか思っちゃった自分に対してです。
コレではいけない。
あいつをきちんと、みんなに喜ばれる不動産業者にしなくては・・・
あいつを幻のままにするわけにはいかない!
僕は使命感に駆られて、あの本を棚から取り出しました。
そう、僕が20代のころから幾度となく助けられたあの本を・・・
影響力の武器とのファーストコンタクト
僕が、この本に出合ったのは前職のドン・キホーテで販売の仕事に命を懸けていた時の事でした。
当時は朝7時に出勤して、仕事が終わるのが深夜1時や2時が当たり前、休みの前の日は徹夜してても普通の生活をしていました。

あの頃は、深夜まで働くことがかっこいいと思っていましたが、とにかくがむしゃらに仕事をし続ける生活に疑問を感じ始めてたんですよね。
なぜならみんな「睡眠不足」「体調不良」「家庭崩壊」を抱えながら働いているのに売り上げは現状維持ばっかりなんですよ。
もちろん僕もその一人で、他の奴より頑張った分ほんの少しだけ売り上げがよいだけの状態でした。
「このままじゃだめだ。もっと考えて仕事をしないと・・・」
そんな時に出合ったのがこの伝説的な本・・・
「影響力の武器」

でした。
当時の僕は、本を読むための時間すら惜しかったのですが、何とか時間を作っては読みまくりました。
影響力の武器の効果がえぐい件
この本の効果は、ホントに劇薬のようでした。
ロバート・チャルディーニ博士が研究した内容が分かりやすく、実例込みで解説してあり、自分の仕事に生かすのも何とかなるんじゃないかと思えたんです。
使い方によっては、本人が全く欲しがってもいないものも買わせることができそうで怖かったのですが、まず出来そうなことから試そうと思いました。
今の世の中は選択肢が無限大にあってしまうため、毎日沢山の選択を迫られる世の中になっています。
それをいちいち考え抜いて決断していると、時間がいくらあっても足りません。
だから簡単に、誰しも陥ってしまいがちな自動的な行動をとってしまうそうです。
僕はこの本に書いてあった
「コントラストの原理」
「高価なもの=良いものの原理」
を自分の仕事に取り入れてみることにしました。
「コントラストの原理」は、冷たい水に手を入れておいて、次に暖かいお湯に手を入れるといつもより熱く感じる様な感じで、
最初に見た金額より安い金額を見たときには通常より安く感じる原理です。
そこで、周りのお店の販売価格を徹底的に調査して、
「あそこのお店では○○円ですが、当店では○○円」
という札をあちこちに付けました。
続いて、「高価なもの=良いものの原理」を取り入れてみようと思い、
他のお店であまり売っていない美容室専売品のシャンプーや洗い流さないトリートメントなんかは、売りにくいと思ってかなり安くしてたんですが、
逆に値上げして普通の美容院で売っている金額と変わらない金額にしてみました。
そしたら、仕事量もお客様の数も変わらないのにその翌月、
売上も利益も1.2倍になっちゃったんです。
「こんなに効果があるのなら全部やってやろう」
と考えた僕は、全部の原則を順番に試していくことにしました。
①返報性の原則
これは、人から何らかの恩恵を受けたら、そのお返しをしなくてはいられなくなる原則です。
試しに使ってもらえる試供品がある物は全てメーカーから取り寄せて、お店の中に取り付けました。
また、お店の入り口の所にアルバイトさんに立ってもらい、制汗シートを無料で配ったりしました。
ドン・キホーテは、値引き販売禁止だったので、先ずこちらが譲歩することによって相手の譲歩を引き出すテクニックは使うことができませんでした。
②一貫性の原則
これは、販売の仕事で使うのは少し難しかったです。
「俺は、野球はジャイアンツのファンだ」
と宣言してしまえば、それに一貫するように行動してしまうというものなのですが、これが生かせるようになるのはもう少し先の事でした。
③社会的証明の原則
「他の人が良いと考えているものはよい」という原則です。
今でこそ、Amazonや楽天のレビューや商品レビューのサイト、YouTubeの開封レビューなんかを見たことがあると思います。
これは、メーカーから支給されるDVDを取り付けまくりました。
今ではあまり見なくなった街頭インタビュー形式の商品のおすすめCMや、
有名人が商品をオススメするDVDを沢山目につきそうな場所に取り付けました。
それと、別に僕が考えたわけでは無いんですけど、駐車場にゲートを取り付けてすぐには入れないようにしてしまい、渋滞を引き起こすことによって、大繫盛している風を装うことができました。
④好意の原則
これは分かり易く、好きな人のおススメやお願いは受け入れやすいというものです。
お店という形を取っているため、個人のお客様と直接話をする機会は多くはなかったのですが、
月に一度は散髪をして、汚れまくっていた制服はキチンと洗濯するようにして身だしなみにも気を遣うようにしました。
好意を生み出す最も影響力があるものは、「自分に似ているところがある」というもので、服装、経歴、趣味、出身地なんかなんですが、販売の仕事でこれを生かすことは十分にはできませんでした。
⑤権威の原則
偉い人やその道のスペシャリストがおススメする事には盲目的に従うという原則でした。
これもやはりDVDを使っていきましたが、
不思議なのは、おススメする人が芸能人とか全然スペシャリストじゃない人でも、
ドラマなんかで医者や弁護士の役をやっている人であればそれなりにこの原則に当てはまってしまう事でした。
それっぽい感じなら良いんだ・・・
と、何となく悲しい気持ちになったのを思い出しました。
⑥希少性の原則
これは、「数量限定」や「最終期限」という方法があるのですが、
僕がよく使ったのは「最終期限」で期間を決めて、クーポン券を発行しまくり、今だけ!!、本日限り!!などで売り出しました。
「数量限定」は担当者レベルではなかなかできませんでしたが、
仮面ライダーのベルトやワンピースのフィギュアなどでその力の強さは十分に見ることが出来ました。
僕は、クリスマス前に仮面ライダーのベルトの売り出しをやらされることが多かったのですが、
お店に入ってくるベルトが5本限定だったのに対して150人以上並んだことがあって、パニックになりかけたことがありました。
希少性恐るべし。
やーゆーよ、学び狂うがよい
この本の効果は絶大でした。
売り上げは、どんどん上がりましたし僕みたいなもんでも
そこそこ出世しまして、単品売り上げでは全国トップになることもできました。
まあ、もっともっとと思うのが人間なんで、仕事は忙しくなる一方で
一ミリも楽にはなりませんでしたけどね。
けれども、お客様に喜んでもらうことは全く意図していませんでしたが、たくさんの方たちが喜びの声を聴かせてくれました。
こんないい方法は、不動産の仕事にも生かしていこうと思い現在に至ります。
正直、今の仕事の方がずっとこの原則を適用しやすいと思っています。
全て、一気には出来ないので少しずつ毎日改善を続けて行っています。
そんな訳でうちの会社は、自ら進歩しない奴は置いて行かれてしまいます。

幻のシックスマン、やーゆーよ。
君はこれから、今までの仕事とは異質な仕事に就くことになる。
俺が君に伝えてやれることは、
君は必ず失敗するだろうということだけだ。

まさにこの写真のように。
どんなに頑張ったとしても、間違いなく失敗する。
そして転んで、泣いて、苦しんで・・・そこから這い上がってこい。
君にはその能力も意思も備わっていると、俺は信じている。
失敗とは、その時のその状態を表しているに過ぎない。
そこから這いあがり、必死で頭を使ってあがき続けた時、今まで見たこともない高みにみんなで立っていることに気が付くだろう。
少なくとも、俺だけはそう信じている。
他の奴が笑おうと、馬鹿にしようと、無理だと嘲ろうと俺は信じている。
みんなでより多くのお客様に喜んでもらい、爺さんになった時、
「あの時は大変だったな。」
とお前と笑いながら話せる時が来ることも・・・
新たな旅に出るやーゆーの前途を祝して。

やーゆーの友達 吉田しゃちょー より